「心臓リハビリ中、どんな症状が出たらやめるべき?」「血圧や脈拍は、どこまでなら大丈夫?」と迷うことはありませんか。
中止の判断では、数値だけでなく症状と普段との違いを確認します。胸痛やいつもと違う息苦しさがあれば、目標の運動時間に達していなくても中止して伝えましょう。
心臓リハビリの中止基準とは
中止基準は、運動を続けるか、止めて状態を確認するかを判断する目安です。ここでは心リハのうち、運動療法の中止を扱います。運動を休んでも、体調に応じた生活相談や療養支援は続けられます。
ガイドラインでは、原則として直ちに中止する「絶対的中止基準」と、病状や症状を合わせて判断する「相対的中止基準」を示しています。「相対的」は、患者さんが我慢して続けてよいという意味ではありません。
運動中にこんな症状が出たら中止する

- 胸の痛み・圧迫感・締め付けられる感じ
- 普段と違う息苦しさや、急に強くなる息切れ
- めまい、ふらつき、意識が遠のく感じ
- 動悸に伴う気分不良、冷や汗、吐き気
- 突然の強い疲れ、強い筋肉痛や関節痛
運動を弱めても症状が悪化する場合は、続けないでください。「つらいのでやめたい」という本人の希望も中止する理由です。医療機関では、その場でスタッフに知らせます。
自宅で運動する日の体調確認は、運動を休む症状と中止の目安も参考にしてください。
強い症状があるときは119番へ
強い胸痛や圧迫感が続く、突然激しい胸・背中の痛みが出る、急に呼吸が苦しくなる、意識がおかしい場合は、119番へ連絡してください。血圧測定のために通報を遅らせず、自分で運転しないでください。
血圧・脈拍・酸素飽和度の中止基準
以下は、医療者が監視下の運動療法で参照する相対的中止基準の一部です。自宅で「この数字になるまで続けてよい」という上限ではありません。
上と下がそれぞれ何を表すかは、血圧の上と下の意味と数値の見方で詳しく解説しています。
| 確認項目 | ガイドラインに示される目安 |
|---|---|
| 血圧 | 収縮期血圧が80mmHg未満、または250mmHg以上、拡張期血圧が115mmHg以上 |
| 脈拍 | 心拍数40回/分以下の徐脈の出現 |
| 酸素飽和度 | 90%未満への低下、または安静時から5%以上の低下 |
| 心電図 | 新たな不整脈や、1mm以上のST低下 |
収縮期血圧は「上の血圧」、拡張期血圧は「下の血圧」です。酸素飽和度は、血液が酸素をどの程度運んでいるかを示す指標です。STは心電図の波形の一部を指します。
相対的基準が2項目以上同時に出た場合は、絶対的基準と同等に判断して直ちに中止します。1項目でも、症状や病状に応じて中止が必要です。心停止や重い不整脈、意識状態の悪化などは、数値表とは別に直ちに対応する状態です。
病気や薬によって、より低い血圧・心拍数で運動を止める指示が出ることもあります。運動中の基準と、開始前に運動を見合わせる基準は分けて考えましょう。
心電図を付ける目的は、運動中に心電図で確認するポイントで解説しています。
運動前から体調が違う日は始めずに相談する
発熱、安静時の胸部症状、いつもより強い息切れがある日は、予定どおり運動を始めず相談しましょう。急な体重増加やむくみも、心不全の状態を確認する手がかりになります。
日々の変化は、心不全が悪化するサインと受診の目安をご覧ください。
中止後は記録し、再開方法を確認する

症状が出たら転倒しない安全な場所で、座るなど楽な姿勢を取ります。胸痛や強いめまいがあるときに、整理運動を続ける必要はありません。
相談時には次の情報を伝えましょう。
- 何をしているときに、どんな症状が出たか
- 症状が続いた時間と、休んだ後の変化
- 測定できた血圧・脈拍、服薬の変更
胸痛や失神しそうな感覚があった場合は、軽快しても自己判断で再開せず、医療機関へ相談してください。再開する強さは、心拍数やきつさを使った運動強度の決め方も踏まえ、担当者と確認します。
新人理学療法士が確認したいこと
開始前の状態、症状が出た負荷、血圧・心電図の変化、回復経過を記録し、医師や看護師へ共有します。電極の外れなどで必要な監視ができない場合も、中止して確認します。運動負荷試験と日々の運動療法の基準を混同せず、個別指示と施設の緊急対応手順を確認してください。
よくある質問
脈拍が何回になったら中止ですか?
全員に共通する上限はありません。薬や不整脈でも反応が変わるため、個別の目安を確認してください。
少し息が弾むだけでも中止しますか?
運動に伴う呼吸の変化はありますが、普段と違う苦しさ、胸痛、めまいを伴う場合は中止して伝えます。
数値が正常なら続けてもよいですか?
数値だけでは判断できません。表示が普段どおりでも、症状や「やめたい」という気持ちを伝えてください。
中止した日は、薬を変えたほうがよいですか?
自己判断で増減・中断せず、処方元へ相談してください。事前の対応指示があればそれに従います。
まとめ
心臓リハビリは、症状・数値・普段との違いを合わせて中止を判断します。つらさを我慢せず伝え、自宅での中止基準と連絡先、再開の手順を主治医や担当者と決めておきましょう。
医療情報に関する注意事項
本記事は一般的な情報であり、診断や個別の運動許可に代わりません。病状や治療によって適切な対応は異なります。主治医・医療専門職の指示を優先し、強い胸痛や呼吸困難、意識の異常があれば119番へ連絡してください。
参考資料
資料確認日:2026年10月16日
- 日本循環器学会・日本心臓リハビリテーション学会ほか『2021年改訂版 心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン』(2026年6月20日更新)。第3章「運動中止基準,運動療法のリスクと事故防止」、表25を参照。
ガイドライン本文 - 総務省消防庁『救急車利用マニュアル A guide for ambulance services』
救急車利用マニュアル掲載ページ
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