退院後・外来の心臓リハビリでは何をする?期間や運動内容を解説

退院後・外来の心臓リハビリの内容を示すイラスト

「退院したら、リハビリは終わりなの?」

「外来のリハビリでは、どのような運動をするの?」

心筋梗塞や心不全、心臓手術などの治療を受け、無事に退院できても、体力や生活への不安がすぐになくなるとは限りません。

入院中に歩けるようになっていても、自宅へ戻ると、買い物、家事、通勤、階段など、病院内よりも多くの活動が必要になります。

退院後の外来リハビリは、心臓の状態を確認しながら体力を回復させ、再発や再入院を防ぎ、安心して日常生活へ戻るための大切な取り組みです。

この記事では、外来リハビリの内容、通院頻度、実施期間、自宅での運動との違いについて、理学療法士がわかりやすく解説します。

心臓リハビリの基本については「心臓リハビリとは?目的・内容・効果を理学療法士が解説」をご覧ください。

対象となる病気については「心臓リハビリの対象となる病気は?心筋梗塞・心不全・手術後などを解説」で紹介しています。

入院中の流れを知りたい方は「入院中の心臓リハビリでは何をする?開始時期から退院までの流れを解説」をご覧ください。

目次

退院後も心臓リハビリは続く

心臓リハビリは、入院中に歩けるようになった時点で終了するものではありません。

一般的に心臓リハビリは、次の3つの時期に分けられます。

  • 急性期:入院直後や手術直後から離床を進める時期
  • 回復期:退院前後から、体力と生活を立て直す時期
  • 維持期:社会復帰後も運動や自己管理を続ける時期

外来リハビリは、主に回復期〜維持期に行われます。

退院後は医療スタッフが常に近くにいる環境ではなくなるため、自分で体調を確認しながら生活する力も必要になります。

外来リハビリでは、運動療法だけでなく、血圧や体重の管理、服薬、食事、仕事復帰なども含めて支援します。

心筋梗塞後に外来心臓リハビリへ通う目的や、服薬・運動・食事など退院後の注意点は、心筋梗塞とは?前兆・治療・退院後の生活を解説で解説しています。

外来リハビリはいつから始まる?

外来リハビリを始める時期は、病気や治療内容、退院時の状態によって異なります。

入院中からリハビリ室で運動を始め、退院後も同じ医療機関の外来へ通う場合もあります。

一方、退院後に別の医療機関へ紹介されて始める場合もあります。

退院してから長期間待つ必要があるわけではありません。主治医が参加可能と判断し、通院先の準備が整えば、退院後の早い段階から開始できます。

ただし、次のような状態がある場合は、運動よりも診察や治療を優先します。

  • 安静にしていても胸の痛みがある
  • 息苦しさやむくみが急に強くなった
  • 短期間で体重が大きく増えた
  • 血圧や脈拍が普段と大きく異なる
  • 発熱や強い倦怠感がある
  • めまい、失神、強い動悸がある

外来リハビリへ参加する日の体調が悪い場合は、無理に運動せず、スタッフへ伝えることが大切です。

急性心不全で入院した方は、入院中の離床から退院後へつなぐ心リハの流れも確認しておきましょう。

外来リハビリの一般的な流れ

医療機関によって内容は異なりますが、一般的には次のような流れで行われます。

体調を確認する

最初に、その日の体調や自宅での様子を確認します。

主な確認項目は次のとおりです。

  • 血圧と心拍数
  • 体重の変化
  • 息切れやむくみ
  • 胸の痛みや動悸
  • 疲労感や睡眠
  • 薬の変更や飲み忘れ
  • 自宅での運動状況

心不全の患者さんでは、数日間の体重変化やむくみが、悪化の兆候を見つける手がかりになることがあります。

運動前の確認で問題がみられた場合は、運動内容を軽くしたり、運動を中止して診察を受けたりします。

準備運動を行う

身体を運動に慣らすため、ストレッチや軽い体操などを行います。

急に強い運動を始めるのではなく、心拍数や血圧の変化を確認しながら少しずつ身体を動かします。

有酸素運動を行う

外来リハビリでは、歩行や自転車エルゴメーターなどの有酸素運動が中心になります。

運動強度は、心肺運動負荷試験(CPX)、6分間歩行試験、心拍数、自覚症状などを参考に設定します。

最初は短い時間や軽い負荷から始め、体調や運動への反応を確認しながら調整します。

「隣の人と同じ負荷で運動する」ものではなく、一人ひとりの心臓の状態と体力に合わせることが大切です。

脚の動脈の病気では、症状に応じて歩行と休憩を組み合わせます。下肢閉塞性動脈硬化症の歩行リハビリを参考に、自分に合う進め方をスタッフと確認しましょう。

筋力トレーニングを行う

必要に応じて、下半身や上半身の筋力トレーニングも行います。

心臓病の患者さんでは、入院や活動量の低下によって足の筋力が落ちている場合があります。

立ち上がり、階段、買い物などの日常生活を楽にするためには、有酸素運動だけでなく、適切な筋力トレーニングも重要です。

ただし、息を止めて強く力む運動は血圧を上げる可能性があります。呼吸を続けながら、指示された回数と負荷で行いましょう。

整理運動と運動後の確認を行う

運動後は急に止まらず、軽い運動やストレッチで身体を落ち着かせます。

その後、血圧、心拍数、心電図、自覚症状などを確認し、運動前の状態へ戻っているかを評価します。

運動後も胸の違和感、動悸、強い疲労などが続く場合は、必ずスタッフへ伝えてください。

週に何回通うの?

外来リハビリの通院頻度は、病状、体力、生活環境、医療機関の体制などによって異なりますが、目安として週1〜3回程度通われると良いでしょう。

週1~3回程度の監視下運動と、自宅での運動を組み合わせることがありますが、すべての患者さんに同じ頻度が必要なわけではありません。

仕事や距離の問題で頻繁に通えない場合は、通院できる回数と自宅での運動を組み合わせて計画します。

重要なのは、短期間だけ頑張ることではなく、安全な運動を継続することです。

通院回数については、主治医や外来リハビリのスタッフと相談してください。

1回にどのくらい運動するの?

大まかな目安としては、40分〜1時間程度行いますが、その日の体調や体力によって異なります。

準備運動、有酸素運動、筋力トレーニング、整理運動を合わせて行いますが、最初から長時間の運動を行うとは限りません。

有酸素運動は短時間から始め、休憩を取りながら少しずつ時間を延ばすこともあります。

運動時間が長ければ効果が高いとは限りません。適切な運動強度で、無理なく継続できることが重要です。

外来リハビリの期間は?

日本の保険診療では、心大血管疾患リハビリテーション料に標準的な算定日数が設けられており、原則として治療開始日から150日が一つの目安になります。

ただし、「退院した日から必ず150日間受けられる」という意味ではありません。

発症日、手術日、治療開始日、病状、対象疾患、医療機関の施設基準などによって扱いが異なります。また、医学的に継続が必要と判断された場合などには、条件に応じた対応が行われることがあります。

実際に通院できる期間や費用については、主治医、リハビリ担当者、医療機関の受付へ確認してください。

保険診療としての期間が終了した後も、運動や自己管理をやめるわけではありません。維持期として、自宅や地域の運動施設などで継続していくことが大切です。

外来リハビリとの自宅での運動の違い

自宅での運動には、移動の負担がなく、自分の生活に合わせて続けやすいという利点があります。

一方、外来リハビリでは、医療スタッフが運動中の心拍数、血圧、心電図、症状などを確認できます。

また、体調や検査結果に合わせて運動内容を調整し、病気や生活について相談できることも大きな特徴です。

外来と自宅のどちらか一方を選ぶのではなく、外来で安全な運動方法を学び、自宅で実践するという組み合わせが基本になります。

自宅で歩く準備やコース選びは、心臓病の人が自宅でウォーキングを始める方法と注意点で紹介しています。

外来リハビリを受けるメリット

病気や患者さんの状態によって異なりますが、外来リハビリには次のような役割があります。

  • 体力や運動耐容能の改善を目指す
  • 日常生活での息切れや疲れやすさを軽減する
  • 安全な運動強度を理解する
  • 再発・再入院の予防につながる生活を身につける
  • 血圧、体重、服薬などの自己管理を習慣化する
  • 社会復帰や仕事復帰に向けた準備を行う
  • 病気や運動に対する不安を軽減する

退院直後は「どこまで動いてよいのかわからない」と感じる方も少なくありません。

医療スタッフの監視下で運動し、自分に合った活動量を知ることは、安心して生活を広げることにつながります。

自宅では、運動だけでなく家事や階段、買い物も活動量に含まれます。退院後の家事・階段・外出の目安を参考に、生活の中で困っている動作も相談しましょう。

外来リハビリを受けるには

外来リハビリは、すべての医療機関で行われているわけではありません。

入院した病院で外来リハビリを実施している場合は、退院前に参加方法を確認しておきましょう。

入院した病院で実施していない場合は、循環器内科の主治医へ相談し、外来リハビリを行っている医療機関を紹介してもらう方法があります。

医療機関へ問い合わせる場合は、次の点を確認するとよいでしょう。

  • 自分の病気が対象になるか
  • 紹介状が必要か
  • 通院できる曜日と時間
  • 1回の実施時間
  • 費用と実施できる期間
  • 心肺運動負荷試験などの検査を行っているか

運動を休んで相談した方がよい症状

外来リハビリの日や自宅で運動する前に、次のような症状がある場合は、運動を休んで医療機関へ相談してください。

  • 胸の痛みや圧迫感
  • 安静にしていても強い息苦しさがある
  • めまい、失神、強い動悸がある
  • むくみや体重が急に増えた
  • 冷や汗や顔面蒼白がある
  • 発熱や強い倦怠感がある
  • 普段と比べて血圧や脈拍が大きく異なる

症状が強い場合や急激に悪化した場合は、外来の予定を待たず、速やかに医療機関へ連絡してください。

よくある質問

退院後、外来リハビリに必ず通う必要がありますか?

必ずではないですが、可能な限り参加した方が良いです。自宅運動を中心にする場合でも、安全な運動方法について指導を受けることが大切です。

高齢でも参加できますか?

高齢でも参加できます。病状や通院の可否を踏まえ、主治医と相談して決めてください。自宅運動を中心にする場合でも、安全な運動方法について指導を受けることが大切です。

仕事をしながら通えますか?

もちろん可能です。通院頻度の調整や自宅運動との併用について、退院前から相談しておくとよいでしょう。

運動が苦手でも大丈夫ですか?

最初から激しい運動を行うものではありませんので大丈夫です。体力や症状に合わせて、短い時間や軽い負荷から始めます。不安がある場合は、そのままスタッフへ伝えてください。

まとめ

外来リハビリは、退院後の体力を回復させるだけでなく、再発や再入院を防ぎ、安全に日常生活や仕事へ戻るための取り組みです。

運動前に体調を確認し、歩行や自転車運動、筋力トレーニングなどを一人ひとりに合った内容で行います。

さらに、血圧や体重の管理、食事、服薬、自宅での運動などについて、多職種から支援を受けられます。

退院はリハビリの終了ではなく、回復期から維持期へ進む一つの通過点です。

外来リハビリへの参加を希望する場合は、入院中または外来受診時に、主治医やリハビリスタッフへ相談してみましょう。

医療情報に関する注意事項

この記事は、外来リハビリに関する一般的な情報を提供するものであり、個別の診断、治療、運動の許可を行うものではありません。

外来リハビリの適応、開始時期、通院頻度、実施期間、費用は、病状や医療機関によって異なります。

運動や生活については、必ず主治医や担当する医療専門職の指示に従ってください。

参考資料

日本循環器学会・日本心臓リハビリテーション学会合同ガイドライン
「2021年改訂版 心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン」

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この記事を書いた人

理学療法士(2021年免許取得)。心不全療養指導士(2022年取得)、心臓リハビリテーション指導士(2023年取得)。循環器領域で心臓リハビリテーションに従事し、専門的な内容を患者さんやご家族、医療職・学生にもわかりやすく解説しています。

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