クレアチニン・eGFR・カリウムとは?心臓病で確認する理由と数値の見方

クレアチニン・eGFR・カリウムと検査値の見方の文字、腎臓、採血管、検査結果票のイラスト

「心臓の治療なのに、なぜ腎臓の数値を調べるの?」「eGFRが下がったら、薬や運動をやめた方がよい?」と迷っていませんか。

クレアチニン・eGFR・カリウムは、心臓病の治療を続けるうえで大切な検査です。1回の数字だけで判断せず、過去の値、症状、薬の変更と一緒に確認することがポイントです。

目次

クレアチニン・eGFR・カリウムは何をみる検査?

クレアチニンは、腎臓から排出される老廃物

クレアチニンは、筋肉で使われる物質から生じる老廃物です。主に腎臓から尿へ排出されるため、腎臓の働きが低下すると血液中の値が高くなる傾向があります。検査票では「Cr」「Cre」などと記載されます。

ただし、筋肉量にも左右されます。筋肉が少ない方では低めに出ることがあり、「低いから腎臓は問題ない」とは言い切れません。基準範囲は性別などでも異なるため、検査票を確認しましょう。

eGFRは、腎臓のろ過する力の推定値

eGFRは「推算糸球体ろ過量」のこと。腎臓のフィルターで血液をどのくらいろ過できるかを、通常はクレアチニン、年齢、性別から計算します。一般に、低いほどろ過する働きの低下が考えられます。

単位は「mL/分/1.73m²」で、体格の違いを補正した値です。eGFRが50でも「腎機能が50%」という意味ではありません。

eGFRが60未満、または尿たんぱくなどの腎障害が3か月を超えて続く場合は、慢性腎臓病(CKD)に該当します。1回低かっただけでは決められず、60以上でも尿検査の異常があれば確認が必要です。厚生労働省のCKD解説資料

筋肉量が少ないと、クレアチニンから求めたeGFRが実際より高めに出る場合があります。必要に応じ、筋肉量の影響が少ない「シスタチンC」という別の検査も使います。

カリウムは、心臓や筋肉の動きを支える成分

カリウムは、体の電気的な働きを支える「電解質」の一つです。検査票では「K」と記され、腎臓が排出量の調節に関わります。高すぎても低すぎても、不整脈や筋力低下の原因になることがあります。

基準範囲の一例は3.6〜4.8mEq/Lですが、施設で異なります。これは治療中の全員が目指す値と同じではありません。検査票の範囲と、主治医の説明を確認してください。国立病院機構 埼玉病院「血液検査の解説ガイド」

心臓病で腎機能とカリウムを確認する理由

心臓と腎臓は互いに影響します。心不全では腎臓へ届く血液が減るほか、血液が滞る「うっ血」によって腎臓の働きが低下することがあります。反対に、腎臓の働きが落ちて塩分や水分がたまると、心臓への負担につながります。

心不全の全体像は、心不全の症状・原因・治療の基本も参考にしてください。

また、心臓への負担をみるBNP・NT-proBNPは、腎機能にも影響されます。BNP・NT-proBNPの数値を見るポイントと合わせて理解しましょう。

心臓と左右の腎臓を双方向の矢印で結び、互いに影響する関係を示した模式図

薬の開始・変更後は、採血の予定を確認

心不全の薬には、腎機能やカリウムの値に影響するものがあります。

  • スピロノラクトンなど一部の薬は、カリウムを上げることがある
  • フロセミドなど尿を増やす薬は、カリウムを下げることがある
  • 薬によっては、開始後にeGFRが一時的に下がることがある

変化が治療に伴うものか、脱水や病状悪化などによるものかは、変化の程度と経過を合わせて医師が判断します。数値だけで「薬が腎臓を傷めた」と決めつけず、自己判断で中止・増減しないでください。

採血日と結果、薬の変更日、体重・血圧・症状を残すと相談に役立ちます。次の検査日も確認しましょう。

Cr・eGFR・Kの検査結果票と、体重・血圧などを記録する手帳、薬を並べたイラスト

食事・水分・運動は、自分に合う方法を相談

腎機能が低いからといって、全員が野菜や果物を制限するわけではありません。カリウム値、薬、栄養状態を見て、医師や管理栄養士と調整します。カリウム入りの減塩調味料やサプリメントも、使う前に確認してください。

「クレアチニンを下げたいから」と水を大量に飲むことも避けましょう。心不全では水分のとり過ぎが負担になる場合があり、反対に脱水にも注意が必要です。

運動はeGFRだけでは決めません。病状が安定しているか、カリウム異常や症状がないかを確認します。新人理学療法士も、採血日と推移、筋肉量、薬の変更、当日の体調と医師の指示を合わせて判断しましょう。心臓リハビリの中止基準と対応も参考になります。

こんな変化は、次の受診日を待たず相談

  • 尿が明らかに減った、むくみや息切れが増えた
  • 動悸、強いだるさ、力が入りにくい感じが出た
  • 嘔吐・下痢・食欲低下が続き、普段どおり飲食できない

カリウム異常は症状が目立たないこともあります。医療機関から異常値や再検査の連絡があれば、症状がなくても指示に従ってください。失神、強い胸痛、突然の強い息苦しさがある場合は119番へ連絡しましょう。

よくある質問

クレアチニンが少し高ければ、透析になりますか?

1回の値だけでは決まりません。eGFRの推移、症状、尿検査などを合わせて評価します。まず、自分の普段の値からどの程度変わったか確認しましょう。

カリウムが高いと言われたら、バナナは一切禁止?

一律ではありません。食べる量や食事全体を見て調整します。自己流で食品を大きく減らさず、具体的な量を相談してください。

採血でカリウムが高く出ても、測り直すことがありますか?

採血時などに赤血球が壊れる「溶血」で、高めに出る場合があります。ただし、本当の異常かどうかは自分では判断できません。再検査や受診の指示に従いましょう。

まとめ

クレアチニン・eGFRは腎臓の働き、カリウムは心臓や筋肉に関わる成分の状態をみます。過去の値、症状、薬を一緒に確認し、食事・水分・運動の調整は医療者と相談しましょう。

医療情報に関する注意事項

本記事は一般的な情報で、個別の診断・治療に代わるものではありません。検査結果の解釈、薬の調整、食事・水分・運動の指示は、主治医や担当医療者に確認してください。

参考資料

資料確認日:2026年11月3日

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この記事を書いた人

理学療法士(2021年免許取得)。心不全療養指導士(2022年取得)、心臓リハビリテーション指導士(2023年取得)。循環器領域で心臓リハビリテーションに従事し、専門的な内容を患者さんやご家族、医療職・学生にもわかりやすく解説しています。

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