心臓リハビリとは? 目的・内容・効果を理学療法士が解説

心臓リハビリテーションを表した心臓と運動のイラスト

「心臓が悪いのに運動しても大丈夫なの?」「心臓リハビリでは何をするの?」と、不安や疑問を感じる方も多いのではないでしょうか。

心臓リハビリは、単に歩いたり自転車をこいだりするだけではありません。安全に運動を行いながら、病気や薬について学び、食事や生活習慣を見直し、再発や再入院を防ぐための総合的な取り組みです。

この記事では、心臓リハビリの目的・内容・対象となる病気について、理学療法士がわかりやすく解説します。

目次

心臓リハビリとは

心臓リハビリとは、心臓病の患者さんが体力や自信を取り戻し、安心して家庭生活や社会生活へ復帰することを目指す総合的な治療プログラムです。「心リハ」と略して呼ばれることもあります。

心臓リハビリというと、歩行練習や自転車運動を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、実際には運動療法だけではありません。病気や薬についての学習、食事や生活習慣の見直し、再発予防のための自己管理、心理面への支援なども含まれます。

医師、看護師、理学療法士、薬剤師、管理栄養士などの専門職が連携し、患者さんの病気や体力、生活環境に合わせて支援していくことが心臓リハビリの大きな特徴です。

心臓リハビリに含まれる運動療法、病気と薬の学習、生活習慣の改善、心理・社会面の支援

心臓リハビリで行うこと

心臓リハビリでは、患者さんの状態に合わせて、運動療法、病気についての学習、生活習慣の改善などを組み合わせて行います。具体的な内容や進め方は、病気の種類や治療経過、体力によって異なります。

運動療法

運動療法では、血圧、脈拍、心電図、自覚症状などを確認しながら、歩行や自転車エルゴメーターなどの有酸素運動を行います。必要に応じて、スクワットや重りを使った筋力トレーニングも取り入れます。

運動の強さは全員同じではありません。病状や体力、検査結果などをもとに、一人ひとりに合った内容を設定し、体の反応を確認しながら段階的に進めます。

病気・薬・自己管理についての学習

心臓病の再発や悪化を防ぐためには、自分の病気や治療について理解することも大切です。心臓リハビリでは、薬を続ける理由や血圧・脈拍の測り方、毎日の体重測定、症状が悪化したときの対応などを学びます。

体重の急な増加、息切れ、むくみなどの変化に早く気づき、必要なときに医療機関へ相談できるようにすることも重要な取り組みです。

生活習慣と心理面の支援

食事、塩分、喫煙、睡眠、仕事、日常生活での活動量なども、心臓病の管理と深く関係しています。そのため、患者さんの生活に合わせて、無理なく続けられる改善方法を一緒に考えます。

また、心臓病を経験した後は、「また発作が起きるのではないか」「運動すると心臓に負担がかかるのではないか」と不安を感じることがあります。こうした不安を相談し、安全にできることを少しずつ増やしていくことも心臓リハビリの役割です。

心臓リハビリの対象となる主な病気

心臓リハビリは、心筋梗塞や狭心症、心不全、心臓手術後など、さまざまな心血管疾患の患者さんに行われます。

主な対象となる病気や状態には、次のようなものがあります。

  • 心筋梗塞
  • 狭心症
  • 心不全
  • 心臓手術後
  • 大血管疾患
  • 末梢動脈疾患
  • その他、医師が心臓リハビリを必要と判断した状態

ただし、心臓リハビリを開始できる時期や内容は、病状や治療経過によって異なります。また、医療保険の対象となる条件も定められています。実際に受けられるかどうかは、担当医や医療機関へ確認してください。

心臓リハビリの対象となる病気については、「心臓リハビリの対象となる病気は?心筋梗塞・心不全・手術後などを解説」で詳しく紹介しています。

心臓リハビリを行う目的と期待できる効果

心臓リハビリの目的は、単に筋力や歩行能力を戻すことだけではありません。心臓病によって低下した体力を改善し、安全に活動できる範囲を広げながら、再発や再入院の予防、生活の質の向上、家庭や仕事への復帰を目指します。

心臓病になると、入院による安静や「動くのが怖い」という不安から、活動量が減りやすくなります。活動量が減ると筋力や持久力が低下し、少し動いただけでも疲れや息切れを感じることがあります。

適切な心臓リハビリを継続することで、運動耐容能や筋力の改善、日常生活の負担軽減などが期待できます。また、病気や生活管理について学ぶことで、体調の変化に気づきやすくなり、再発予防につながります。

ただし、得られる効果や改善の程度には個人差があります。病状や年齢、もともとの体力などに合わせ、無理のない範囲で継続することが大切です。

入院中と退院後の心臓リハビリ

入院中の心臓リハビリ

入院中は、病状や治療後の状態を確認しながら、ベッド上での運動、座る練習、立つ練習、病棟内の歩行などを段階的に進めます。

長期間の安静による体力低下を防ぎ、安全に日常生活へ戻る準備をすることが主な目的です。退院後の生活を想定し、着替え、入浴、階段、買い物などに必要な体力について確認することもあります。

入院中に行う心臓リハビリの開始時期や、離床から退院までの詳しい流れは、「入院中の心臓リハビリでは何をする?開始時期から退院までの流れを解説」で紹介しています。

退院後・外来での心臓リハビリ

退院後は、体力の改善と再発予防を目的に、外来で心臓リハビリを継続することがあります。医療スタッフが血圧、脈拍、自覚症状などを確認しながら運動を行い、自宅での運動や生活管理についても相談できます。

退院は治療の終わりではなく、新しい生活管理の始まりです。入院中だけで終わらせず、外来心臓リハビリや自宅での運動を適切に継続することが大切です。

入院と治療から早期離床、退院準備、外来心臓リハビリと自宅運動までの流れ

心臓リハビリを安全に行うために

運動を中止して相談する症状

・胸の痛み
・強い息切れ
・めまい・ふらつき
・冷や汗
・強い動悸
・普段とは異なる強い疲労感

これらの症状が現れた場合は、運動を中止してください。症状が強い場合や、休んでも改善しない場合は、速やかに医療機関へ相談してください。

心臓リハビリでは、病気の状態や検査結果を確認し、その人に適した運動内容と強度を設定します。運動前後には、血圧、脈拍、自覚症状などを確認し、必要に応じて運動中の心電図も評価します。

心臓病があるからといって、すべての運動を避ける必要があるわけではありません。一方で、自己判断で急に強い運動を始めることも安全とは限りません。主治医や心臓リハビリの担当者から説明された運動強度や注意点を守りましょう。

心臓リハビリについてよくある質問

心臓が悪いのに運動しても大丈夫ですか?

病状が安定しており、医師が運動可能と判断した場合は、適切な強度の運動を行うことが推奨されます。ただし、安全な運動強度は患者さんごとに異なります。自己判断ではなく、主治医や心臓リハビリの担当者へ確認してください。

心臓リハビリはどのくらい続けますか?

必要な期間は、病気の種類や治療内容、体力、生活状況によって異なります。入院中から開始し、退院後も外来や自宅で継続する場合があります。短期間だけで終わらせず、運動や自己管理を生活習慣として続けることが重要です。

自宅ではそのような運動をすればよいですか?

一般的には歩行などの有酸素運動が取り入れやすい方法ですが、適切な時間や強度は一人ひとり異なります。退院時や外来受診時に、自宅で行ってよい運動の種類、時間、頻度、中止する症状について確認しましょう。

まとめ

心臓リハビリは、運動療法だけではなく、病気や薬についての学習、生活習慣の改善、再発予防、心理面への支援などを含む総合的な治療プログラムです。

病状や体力に合った心臓リハビリを継続することで、体力の回復や日常生活への復帰、再発・再入院の予防などが期待できます。

心臓病の状態や安全に行える運動内容は、一人ひとり異なります。運動を始めるときは自己判断せず、主治医や心臓リハビリの担当者に相談しましょう。


【執筆・監修】そらまめ

【保有資格】
・理学療法士(2021年取得)
・心不全療養指導士(2022年取得)
・心臓リハビリテーション指導士(2023年取得)

循環器領域で心臓リハビリテーションに従事しています。専門的な医療情報を、患者さんやご家族、新人医療職、学生の方にも理解しやすい言葉でお伝えします。

医療情報に関する注意事項

本記事は、心臓リハビリテーションに関する一般的な情報の提供を目的としており、個別の診断や治療、運動処方に代わるものではありません。

病気の状態や安全に行える運動内容は、一人ひとり異なります。体調に不安がある場合や運動を始める場合は、必ず主治医や担当の医療専門職へご相談ください。

参考文献

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

理学療法士(2021年免許取得)。心不全療養指導士(2022年取得)、心臓リハビリテーション指導士(2023年取得)。循環器領域で心臓リハビリテーションに従事し、専門的な内容を患者さんやご家族、医療職・学生にもわかりやすく解説しています。

目次